<<トピックス>>
第64回日本生殖医学会(令和元年11月7日、神戸国際会議場)
日本中の生殖専門医、胚培養士ら2,500人が集まった標記学会で、鍼灸界から2名のみ、本会会長中村一徳がシンポジウム座長として、事務局長徐大兼はシンポジストとして招請を受けました。本会が生殖医療の中で認知されたことを嬉しく思います。

第18回日本カウンセリング学会学術集会
標記学会において、本会事務局長の徐大兼が、大会長を務めました。また本会会員もシンポジストなどを務めました
詳細は、下記にて。
https://www.jsinfc.com/event/entry.php?id=82

<<発表、講演>>
第13回レーザーリプロダクション学会(平成30年3月11日・香川県高松市)
発表者 なかむら第二針療所 中村一徳

ラット等を使った実験で、様々な経皮的刺激で起こる卵巣動脈の血流量の変化を測定した論文を収集したところ、古来より汎用されている下肢経穴(ツボ)などへの刺激が、実際に影響を及ぼしていることが証明されていた。が、同時に刺激の種類(押圧、ピンチ、熱、鍼)や強さによって、効果の有無が混在しており、実際には刺激の種類と強さをコントロールしなければ効果が乏しいと予測される。またその効果には自律神経機能が影響していることがわかった。
そういった資料を参考に、当院で組み立てた鍼治療・レーザー(交感神経抑制を目的として)同時施術では、鍼灸来院前と通院中の採卵成績において、胚盤胞の獲得数が上昇するデータが得られた。鍼灸に来院される体外受精反復不成功の患者らは、過去の採卵成績が芳しくない人達である。それに対して上記セオリーを踏まえた鍼灸レーザー治療を行ったところ、鍼灸開始時年齢で、35才以下計13人の「鍼灸開始前:鍼灸レーザー開始後」の比較で1採卵あたりの胚盤胞到達数が約4倍(17Blast/40OPU:48Blast/38OPU)に、36〜40才の計32人では約2.6倍(50Blast/86OPU:124Blast/81OPU)に、41才以上の計20人では約1.4倍(42Blast/97OPU:38Blast/61OPU)になったように、成績は上昇するものの加齢と共に効果が減少することもわかった。しかしこれらの効果は、卵巣動脈への効率的な血流量増加が、中長期的に卵子の栄養状態を改善し、卵割の進捗に影響したと考えられる。従って特に40才以下の体外受精反復不成功者には、鍼灸は期待が持てる治療法であると考えられる。(以上、学会抄録抜粋)

第35回日本受精着床学会(平成29年7月20〜21日・鳥取県米子市)
発表者 俵IVFクリニック明生鍼灸院 木津正義

体外受精における胚盤胞移植950例において、鍼灸が着床率にどのように影響を与えるかを比較検討した。胚盤胞移植では加齢と共に着床率が低下するが、鍼灸治療を併用すると、40才以上の胚盤胞移植において、鍼治療群と非治療群を比較したところ、有意にその低下を軽減させる(40才以上で有意に妊娠率が向上する)事が判明した。またそれを実現するために、胚移植の前後計7回程度の治療が効果的であることがわかった。移植前一定期間に鍼灸を継続しておく事が子宮内環境を整えているように考えられる。40才以上における着床は、胚の質のみならず子宮の環境も大切である事が示唆された。

第12回レーザーリプロダクション学会(平成29年3月26日・東京)
発表者 なかむら第二針療所 中村一徳

過去の採卵成績が思わしくなく鍼灸受療に来院した患者で、過去の採卵成績が明確な者59名を対象に、鍼灸(及び直線偏光機器併用)介入以前と以後とで採卵成績の比較を検討した。総採卵周期、総採卵数、平均採卵回数は、鍼灸介入前後で「199:174」「767:667」「3.37:2.95」であった。採卵成績を比較すると、1採卵あたりの胚盤胞獲得率は開始前後で「0.52:0.99」となり、約2倍に上昇した。またこの成績は、鍼灸開始後3〜6ヶ月ころにピークに達し、そのピーク時での採卵は、鍼灸開始前に比し約3倍の胚盤胞獲得率を見せた。結果、平均3.37回の採卵を経た59人のうち35人に良好胚がもたらされて妊娠に至った。また胚移植時に直線偏光照射機(低出力レーザー同等の効果)を併用することにより、着床率が7%上昇した。