男性不妊に対する鍼灸治療, 内名博志「第51回日本不妊カウンセリング学会 不妊カウンセラー養成講座」

男性不妊に対する鍼灸治療
内名博志
〜第51回日本不妊カウンセリング学会〜
不妊カウンセラー及び体外受精受精コーディネーター養成講座


2023年4月16日に「第51回日本不妊カウンセリング学会」 〜不妊カウンセラー及び体外受精受精コーディネーター養成講座〜へ
JISRAMメンバーの内名博志先生が「男性不妊に対する鍼灸治療」について講演しました。

私も座長として参加させていただきました。

発表内容は、「統計解析を行い鍼灸介入前後の精液所見の改善結果」についてです。

内名先生の鍼灸院では精子観察用の顕微鏡を導入後に男性不妊の患者さんが増加しており鍼灸介入前のデータと鍼灸介入後のデータを解析。
タイミング段階、体外受精段階によって病院での精子観察のタイミングが医療的に異なるため、自院でも毎月計測を行う。
また、精子所見のカウント方法は生殖医療機関で教わり「マクラー精子カウントチャンバーを使って、どの列を用いてカウントをするのか」誤差を減らすことを努力された。

方法)2019.10-2022.12の間に来院された男性不妊患者26名のデータを解析。
(それ以外の来院はあるものの、来院前のデータを紛失している方は除外)

鍼灸治療介入前の運動精子濃度(万/ml) 1046.8±1153.1(平均値) が鍼灸治療介入後 3035.2±198.7(平均値) まで改善。

WHOの精子濃度基準が1600万/mlですので、それを超える平均値まで介入後に改善できたことになります。

内名先生よりコメント
「顕微鏡導入」以降(2019年10月~)男性不妊鍼灸を受けに来られた方の精液所見の変化を統計学に詳しい方に解析してもらい、その結果を報告しました。
施術介入前後全182回の精液検査を比べてのデータです。
前会長の中村一徳先生が常々日々の検証の大切さを説かれているように、私も男性不妊に関するだけではなく女性側の鍼灸の影響もできる限りデータを纏めるようにしています。
今回は男性のデータですが、いつか女性側のデータも公表したいと考えています。


内名 博志
S60年1月6日生まれ

一般社団法人JISRAM(日本生殖鍼灸標準化機関)正会員
日本不妊カウンセリング学会認定・不妊カウンセラー
不妊症・不育症ピアサポーター(厚生労働省・日本助産師会)
大阪医療技術学園専門学校 非常勤講師(鍼灸美容学科・産婦人科学)

吹田市立南小学校卒
吹田市立第六中学校卒
大阪府立千里高等学校卒
明治鍼灸大学(現、明治国際医療大学)卒
https://satsukigaoka-chiryoin.com/

男性不妊に関する最新の論文


ところで、昨年、米国生殖医学会から発表された研究において

「タイミング法では精子形態、精子運動率、精子数、総運動精子数が出産率と有意な関連を示した」

「人工授精では精液量、精子数、総運動精子数が出産率と有意な関連を示した」

「ART治療では精子形態のみが出産率と有意な関連を示した」

 

『Longitudinal semen parameter assessments and live birth: variability and implications for treatment strategies』

 

卵子の質も大切ですが、精子の質を高めることも非常い大切であることが分かります。

文責:徐大兼